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2.6 著作権の制限

あかり

他人の著作物について、常に著作権による制限を受けるわけではありません。
著作権法に定められた条件に合えば、著作権者の許諾なく著作物を使用できる場合があります。

 
 

かなた

おぉ-、それは便利ですね!

あかり

著作権の制限に関しては、30条から50条までに規定がありますが、比較的わたしたちの日常生活に身近なものをピックアップしてご紹介しますね♪

 

私的使用のための複製

 

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
(1項1号以降省略)

 

あかり

まず、これは比較的有名ではないでしょうか?
『私的使用のための複製』です。
個人的にまたは家庭内等の限られた範囲内において、著作物を複製することが認められています。

 
 

かなた

個人的に複製…ってのは具体的にどういった場合なんですか?

あかり

たとえば、市販のCDから音楽をリッピングすることや、そもそもCD自体をコピーしてバックアップとして保存しておくことなどが挙げられます。
ただしここで特に注意しなければいけないのは、「技術的保護手段」いわゆるコピープロテクションです。
CDで言えばコピーコントロールCD(CCCD)、またDVDでは市販のものは基本的にコピープロテクションがかかっていますので、それらを回避して複製するのはダメです。(30条1項2号)

 
 

かなた

なるほど。
「私的使用のため」ということは、たとえばコピーしたものを友達にあげたりするのはダメってことですね。

あかり

そういうことですね。

 

付随対象著作物の利用

 

(付随対象著作物の利用)
第三十条の二 写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
(2項省略)

 

あかり

次に『付随対象著作物の利用』です。
これは簡単に言うと写り込みなどの問題です。
たとえば写真を撮るときに、別の著作物が一緒に映り込んでしまったような場合です。

 
 

かなた

えっ、そんなことまでいちいち規定されているんですか?

あかり

実はこれは平成24年の改正で追加されたものですが、それまでも複製権や公衆送信権の侵害にあたるのではないかといわれていました。
それが今回の改正で侵害行為に当たらないものが明確に規定されたんですね。

 
 

かなた

でも、さすがにこれって条件がありそうですね。

あかり

もちろん条文に書かれています。
まとめると次の3つが条件です。
(1)分離することが困難であること
(2)軽微な部分であること
(3)著作権者の利益を不当に害さないこと

 

検討の過程における利用

 

(検討の過程における利用)
第三十条の三 著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

 

あかり

次は『検討の過程における利用』についてです。
ことばの意味がちょっとわかりにくいかもしれないので例にします。

たとえば、ある会社で私たちを広告に使いたいと思っているとします。

 
 

かなた

いや、ないでしょ。

あかり

かなた、せめて夢はでっかくね?

で、そのためには会議などの検討が必要であり、もちろん私たちの絵なんかをその場で実際に見せてみないと検討もできないですよね。
このような検討の過程での当該著作物の利用を認める内容です。

これも平成24年の改正で新しく規定されました。
従来は検討のための利用にも権利者の許諾が必要だったんですよ。

 
 

かなた

うわぁ、なんかさっきのもそうですけど、細かいところまで決めてるんですね。

技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用

 

(技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用)
第三十条の四 公表された著作物は、著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合には、その必要と認められる限度において、利用することができる。

 

あかり

次は『技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用』です。
長いタイトルですが、前のものと似たようなものです。
こんどは試験について利用することについてですね。

 
 

かなた

ただし「著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験」っていうのがミソですね!
具体的にはテレビのレコーダーとか、録音機器とかでしょうか。

あかり

あら、よくできました♪
それともうひとつ、「必要と認められる限度において」というのも重要ですよ。
なんでもかんでも利用していいわけではありません。

 

図書館等における複製等

 

(図書館等における複製等)
第三十一条 国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この項及び第三項において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。
一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあつては、その全部。第三項において同じ。)の複製物を一人につき一部提供する場合
(1項2号以下省略)

 

あかり

次は『図書館等における複製等』です。
かなたは図書館をよく利用しますか?

 
 

かなた

はい、なんたってタダで読めますからね!

あかり

そうですか~!
私もよく勉強するために通っていましたよ。

それはさておき、図書館での複製も一定の条件で許容されています。
ただしもちろん条件があるのは今までのものと同じです。
(1)調査研究のために
(2)公表された著作物の一部分
(3)一人につき一部
です。

ただし、発行後相当期間を経過した雑誌等は全部がコピーできます。

 

引用

 

(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

(出所の明示)
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合
二 (省略)
三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。
(2項以降省略)

 

あかり

次は『引用』についてです。
引用はしたことがある方も割と多いかもしれませんが、ちゃんと著作権法に規定のあるものなんですよ。

条件としては、引用が「公正な慣行に合致する」ことと、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるもの」でなければなりません。
また、第48条では出所の明示が必要な旨が規定されています。

 
 

かなた

またなんとも難しい言い回しですね…

あかり

確かに曖昧でよくわからないですよね。
いちおう判例からは、引用部分を明瞭に区別すること、引用する側とされる側に主従関係があることが求められています。
具体的にはカッコで括ってわかるようにするとか、引用部分がメインにならないように注意するとか、でしょうか。

 

学校その他の教育機関における複製等

 

(学校その他の教育機関における複製等)
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
(2項省略)

 

あかり

次は『学校その他の教育機関における複製等』です。
これはタイトルそのままでわかりやすいですよね。
注意すべき点は、営利目的の教育機関が除かれていること、著作権者の利益を不当に害することとならないようにすることです。

 
 

かなた

たとえば小学校とかの教科書ならOKってことですね~。

試験問題としての複製等

 

(試験問題としての複製等)
第三十六条 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

あかり

つづいて『試験問題としての複製等』です。
これもわかりやすいのではないでしょうか。
ひとつ前の教育機関における複製と同様、著作権者の利益を不当に害することとならないようにしなければなりません。
また、営利目的の場合は補償金を著作権者に支払わなければならない旨が2項に規定されています。

 
 

かなた

行政書士試験の文章理解の問題でも、本から抜粋したものが使われていたりしますね。

そういえば市販されている模擬試験などでは、文章理解の問題が著作権の関係で載っていなかったりしますね。
なるほど、これが影響してるんですね~。

営利を目的としない上演等

 

(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
(2項以下省略)

 

あかり

これで最後です。
『営利を目的としない上演等』です。
文化祭や地域の催しなどで、音楽を演奏したり映画を上映したりする場合です。

 
 

かなた

たしかに割と見ますけど、アレって別に問題なかったんですね?

あかり

毎度のごとく、条件がありますけどね。
まとめると次の通りです。

(1)公表された著作物であること
(2)営利目的でないこと
(3)聴衆又は観衆から料金を受けないこと
(4)上演、演奏、上映、口述のいずれかであること
(5)実演家等に報酬を支払わないこと

 
 

かなた

なるほど。
有志で地域のお祭りなどでやるような場合には問題ない場合も多そうですね。

あかり

もう一つ忘れてはならないのは、引用のところでも出てきた第48条(出所の明示)です。
3項により、「出所を明示する慣行」がある場合には、出所を明示しなければなりません。

 
 

かなた

…慣行ってどういうことですか?

あかり

常識的に考えて、出所を表示するのが普通な場合には出す、表示しないのが普通なら出さない、でいいとは思いますが。
でもできるなら出所は表示しておく方が無難なのは間違いないですね…。

 

まとめ

あかり

というわけで、比較的身近に関係がありそうなところをピックアップしてご紹介しました。
今回紹介したのはほんの一部です。
ご興味があったらぜひほかの場合も調べてみてくださいね♪

 
 

かなた

よくわかりました。
今回挙げられていないものについてもあとで調べておきます。

しかし今回はあまりいじられなくてほっとしました…。

あかり

たしかにギャグパートは今回はほとんどありませんでしたね。
物足りないかしら?

 
 

かなた

いえ、たまにはこんな感じでいいんじゃないかと…

りょう先生の解説

りょう

今回は著作権の制限についての解説でした。
いつもより条文解説中心だったので、ちょっと退屈だったかもしれませんね。

さて、条件を満たしていれば許諾がいらない場合もある、という話でしたが、私たちに一番身近なのはやはり「私的複製」でしょうか。
たとえばCDを買ってきてPCに取り込むことも複製ですし、それをデジタルオーディオプレーヤーに転送しても複製です。
普段何気なく行っているこの動作も、著作権法上の制限規定によるものだったりするんですね。

また、本編では紹介しませんでしたが、平成24年改正でいわゆるキャッシュなども著作権侵害ではないとされました。
本当はほかにもいろいろあったりするのですが、尺の都合やあまり関係のないものもありましたので省略させてもらいました。
私の独断と偏見なので、もしかしたら皆さんには利用できそうなものもあるかもしれません。
ご興味がありましたらぜひ調べてみてください。

 

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© 2013 Ryo Tsuchiya