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2.9 著作隣接権

著作隣接権とは

あかり

著作物をただ作っただけでは世の人には見てもらったり知ってもらったりすることはできませんよね。
著作物を公衆に伝達する存在もまた重要なものであり、そういった利益も保護する必要があります。
これを「著作隣接権」とよび、著作権法の第八十九条から第百四条の十まで規定されています。

 
 

かなた

たしかにいわれてみればそうですね…。
どんな優れた芸術作品でも知ってもらえなければもったいないですね。

あかり

そうなんです。
著作隣接権の対象となるものは著作権法で定められており、「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」「有線放送事業者」の4つがあります。
今回も例のごとく順番に解説していきます♪

 

実演家の権利

あかり

最初は「実演家」の権利についてです。
そもそもまず「実演家」とは何なのか、定義をみていきましょう。
「実演家」については著作権法第二条四項に定義があります。

 
 

(定義)
第二条
 四  実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

 
 

かなた

うーん、要するに音楽とかを実際に演奏した人…って感じですか?

あかり

そのとおりですよ。
音楽に限らず俳優や舞踊などを実際に演じた人もそうですし、変わったところだとマジシャンなども含まれます。

 
 

かなた

ふむふむなるほどー。

 

(氏名表示権)
第九十条の二 実演家は、その実演の公衆への提供又は提示に際し、その氏名若しくはその芸名その他氏名に代えて用いられるものを実演家名として表示し、又は実演家名を表示しないこととする権利を有する。
2 実演を利用する者は、その実演家の別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従つて実演家名を表示することができる。
3 実演家名の表示は、実演の利用の目的及び態様に照らし実演家がその実演の実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき又は公正な慣行に反しないと認められるときは、省略することができる。
(4項省略)

(同一性保持権)
第九十条の三 実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2  前項の規定は、実演の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変又は公正な慣行に反しないと認められる改変については、適用しない。

 

あかり

まず、実演家には「氏名表示権」と「同一性保持権」があります。
これ、どこかで聞き覚えありませんか?

 
 

かなた

あります!
『著作者人格権』のところですね!

あかり

そのとおりです!よく覚えていましたね。
氏名(芸名等)の表示や非表示に関する権利、また変更や改変を受けない権利でしたね。
実演家にもこれらの権利が規定されています。

 
 

かなた

てことはあれですか?
著作者人格権の特徴だった譲渡することができないというのも?

あかり

そうなんです!
これらの権利も著作者人格権と同様、一身専属のもので譲渡することができません。(101条の2)

ちなみにこれらの権利は「実演家人格権」とよばれます。(89条1項)

 
 

かなた

なーるほど。
てことは、基本的に著作者人格権のものと同じと考えていいんですね?

あかり

と思いきや、ちょっとだけ注意が必要です。
同一性保持権について、実演家は「自己の名誉又は声望を害する」場合のみに限られています。
「その意に反」する変更や切除その他の改変を受けないとする著作者人格権の同一性保持権よりも行使できる場面が限られています。(20条1項)

 
 

かなた

ほほー、そうなんですか。
ちょっと違うんですね~。

あかり

実演家の権利としてはほかには次のものがあります。
これらの権利を許諾したり、または使用料を請求することができます。
個々の詳細な説明はここではしませんが、どんな権利があるのかは知っておいてくださいね。

 
 

・録音権及び録画権(91条)
・放送権及び有線放送権(92条)
・送信可能化権(92条の2)
・商業用レコードの二次使用料請求権(95条)
・譲渡権(95条の2)
・貸与権等(95条の3)

 

その他の者の権利

あかり

その他のものはまとめてざーっと紹介します。

まずは「レコード製作者」です。
レコード製作者とは、「レコードに固定されている音を最初に固定した者」をいいます。(2条1項6号)
レコードとはいっていますが、現代でいえばCDも当然含まれます。
レコード製作者の権利には次のものがあります。

 
 

・複製権(96条)
・送信可能化権(96条の2)
・商業用レコードの二次使用料請求権(97条)
・譲渡権(97条の2)
・貸与権等(97条の3)

 
 

かなた

それぞれの権利の名前でだいたい予想つきますね。

あかり

そうですね。
どう紹介しようか悩んだのですが、ここでは思い切ってバッサリ省略しちゃいます。
「こういう権利があるんだー」って程度の認識でかまわないと思ったので…。

 
 

かなた

そ、そうですか…

あかり

さて、次は放送事業者です。
有線放送事業者についてもほぼ同じ権利があると思ってください。

 
 

・複製権(98条,100条の2)
・再放送権及び有線放送権(99条,100条の3)
・送信可能化権(99条の2,100条の4)
・テレビジョン放送の伝達権(100条,100条の5)

 
 

かなた

ちょっと一つだけわかりにくいのがありますね。
テレビジョン放送の伝達権ってなんですか?

あかり

条文には「そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利」とあります。(100条)
家庭用のテレビ等で受信するのではなく、放送を大型のスクリーンに投影するような場合に放送事業者の許諾が必要ってイメージでいいと思います。

まあ、日常的にはあまり関係することはないかとは思いますが…

 

保護期間と著作隣接権の制限

 

(実演、レコード、放送又は有線放送の保護期間)
第百一条 著作隣接権の存続期間は、次に掲げる時に始まる。
 一 実演に関しては、その実演を行つた時
 二 レコードに関しては、その音を最初に固定した時
 三 放送に関しては、その放送を行つた時
 四 有線放送に関しては、その有線放送を行つた時
2 著作隣接権の存続期間は、次に掲げる時をもつて満了する。
 一 実演に関しては、その実演が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した時
 二 レコードに関しては、その発行が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年(その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して五十年を経過する時までの間に発行されなかつたときは、その音が最初に固定された日の属する年の翌年から起算して五十年)を経過した時
 三 放送に関しては、その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した時
 四 有線放送に関しては、その有線放送が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した時

 

あかり

さて、これらの著作隣接権には著作権と同様、保護期間が決まっています。
101条で存続期間を定めています。
まとめるとこんな感じですね。

 
 

【存続期間の始まり】
実演   … 実演を行った時
レコード … 音を最初に固定した時
放送   … 放送を行った時
有線放送 … 有線放送を行った時
【存続期間の終わり】
実演   … 実演が行われた年の翌年から起算して50年を経過した時
レコード … レコードの発行の年の翌年から起算して50年を経過した時
(発行されなかったときは、最初に固定された年の翌年から起算して50年)
放送   … 放送が行われた年の翌年から起算して50年を経過した時
有線放送 … 有線放送が行われた年の翌年から起算して50年を経過した時

 
 

かなた

著作隣接権も基本的に50年なんですね。
数字が覚えやすいのは助かります…。

りょう先生の解説

りょう

今回は著作隣接権についてです。
今回は解説というよりもただの紹介に近い内容になってしまいましたが…

著作物を伝達する者の利益を保護しているものが著作隣接権です。
それぞれの権利はおおむね著作財産権のものと似たようなものです。

1点だけ補足をしておくと、著作隣接権は著作者の権利に影響を及ぼすものではないことです。(90条)
たとえばある楽曲を実演家が演奏したものをCDにして発売するには、実演家にもそうですが当然作曲をした著作権者にも許諾を得る必要があります。
ちょっと考え出すとなかなか複雑な内容ですね。

 

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この記事は内容をわかりやすくするために、詳細な説明を省略したり言葉を置き換えたりして書かれています。
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© 2013 Ryo Tsuchiya