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2.10 私的録音録画補償金

私的録音録画補償金とは

あかり

かなたは「私的録音録画補償金」って知っていますか?

 
 

かなた

おっ、今までに無い導入パターンですね?
ううーん…正直どんなものかがよくわからないのですが、あたしたちにはあまり関係ないものなんじゃないですか?
聞いたことないし。

あかり

おやおや♪
かなた、「私的録音録画補償金」は私たちも今までに支払っているかもしれませんよ?

 
 

かなた

えっ?どういうことですか?

あかり

「私的録音録画補償金」とは、デジタル方式による私的な録音・録画によって著作権者が被る経済的損失を補償するためのものです。
著作権法では第30条2項および第104条の2から第104条の10までに規定されています。

わかりやすく説明すると、著作権者は私的複製等の著作権法上問題のない録音・録画によってもなんだかんだで損害を被ってますよね?
この損失を補償する制度のことをいいます。

具体的にどんなものなのか、見ていきましょう♪

 

私的録音録画補償金はどういうシステムなのか

 


(私的使用のための複製)
第三十条 (1項省略)
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(括弧内省略)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

 

あかり

30条は「2.6 著作権の制限」のところでも紹介した「私的複製」に関する条文です。
実は第2項で、デジタル方式の録音または録画の機能を有する機器等に録音または録画を行うときは、著作権者に補償金を支払わなければならない旨が規定されています。

 
 

かなた

ああなるほど、これが補償金の根拠…ってちょっとまってください!
デジタル方式の録音録画って、たとえば音楽CDを丸ごとコピーしたような場合ですよね?
どうしよう…。あたしいままでにそんなお金支払ったことないですよ…!

あかり

まあシステムを知らないと確かにそう考えてしまうのもしょうがないかもしれませんね。
でもよく考えてください。
かなたが私的複製をしたタイミングが、著作権者にわかりますか?

 
 

かなた

……わかるわけないですよねー

あかり

そうですよね♪
現実的に私的複製のタイミングで補償金を取ることは不可能なので、じゃあどうするのか?
実は政令で定められた機器や機材を購入する段階で支払っています。

わかりやすい例をひとつ挙げると、CD-Rを買うときに「データ用」と「音楽用」っていうのがありますよね?
実は「音楽用」のCD-Rを買うときの値段には「私的録音録画補償金」が上乗せされているんです。

 
 

かなた

へー、そうだったんですか!
音楽用のほうはちょっと高いなぁ…って気がしていたんですが、そういう理由だったんですね~。

あかり

厳密に言うと私的録音録画補償金は機器や機材のメーカーが支払っています。
消費者が買う値段は当然その分が上乗せされた金額になるので、メーカー側に実質的な負担はありません。
また消費者側は面倒な手続きも要らず、一方の権利者側も煩雑にならずに済みます。

 
 

かなた

なるほど~。
よくできたシステムなんですね。

あかり

……はたしてそうでしょうか?

 

私的録音録画補償金の問題点

あかり

実は私的録音録画補償金には指摘されている問題点もいくつかあります。

 
 

かなた

えっ、どういうことですか?

あかり

よく考えてみてください。
私的録音録画補償金は文字通り著作物を私的複製した場合の補償金です。

かなた、あなたがたとえば流行の歌を自分で歌って、ぷぷ…それを集めた痛々しいオリジナルベストCDを作ったとしましょう。

 
 

かなた

…ちょっとあかり先生、例えなのに笑わないでください。
というか、あたしはそんなことしませんからね?

あかり

ここでかなたが音楽用のCD-Rを買ってきた場合を考えてください。
かなたは別に私的複製をしているわけではないのに、私的録音録画補償金を支払っていませんか?

 
 

かなた

…ああっ、確かに!

あかり

そうです。
まず一つ目として、私的複製を目的としないのに私的録音録画補償金を支払わされる場合があり得ることです。
私的複製に対する補償であるはずなのに、これでは不公平感があるのは否めませんね。

 
 

かなた

うーん、確かにわかりましたけど、じゃあどうするのが公平なんでしょう?

あかり

まあ、かなたの言うとおり、完全に公平にするのは難しいんでしょうけどね…

 

あかり

2つめは、私的録音録画補償金を支払う必要がある機器や機材が限られていることです。
政令で定められたもの以外の機器等ならば支払う必要がないため、技術の進歩などにより新しい機器等が登場した際に迅速な対応ができないおそれがあります。

 
 

かなた

どんなものが対象なんですか?

あかり

著作権法施行令1条に列挙されています。
たとえば1項1号では「回転ヘッド技術を用いた磁気的方法により、三十二キロヘルツ、四十四・一キロヘルツ又は四十八キロヘルツの標本化周波数(アナログ信号をデジタル信号に変換す

 
 

かなた

あ、長いので具体的なものの名前でお願いします。

あかり

…音楽用で言えばDAT、MD、CD-Rなど、映像用でいうとDVD-RWやBDなどですね。

 
 

かなた

うん、これならわかりやすいですね!

まとめ

あかり

とまあ、ほかにも指摘されている問題点はありますが、ざっとこんな感じです。

 
 

かなた

だいたいどんなものなのかはわかりました!

ところで、音楽CDってデータ用CD-Rにも焼けますけどこれってどうなんですか?

あかり

…よい子は音楽CDを私的複製する際には「音楽用」CD-Rを使いましょう!

 

りょう先生の解説

りょう

今回は私的録音録画補償金についてです。

著作権者がデジタル方式の私的複製(録音・録画)によって被る経済的損失を補償するものです。
身近な例ではやはり音楽用CD-Rの話が一番良いのではないかと思います。
音楽CDを私的複製するときには音楽用CD-Rを是非使ってください。
まあ、データ用でもまず問題無いのは事実ですけどね…。

ちなみに私的録音録画補償金の対象は文字通り、適法な私的複製の場合のみの話です。
補償金を払ってるから違法な複製をしても良いというわけではないので念のため。

 
 

参考書籍:半田正夫(2013)『著作権法概説 第15版』法学書院.

 

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この記事は内容をわかりやすくするために、詳細な説明を省略したり言葉を置き換えたりして書かれています。
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© 2013 Ryo Tsuchiya