4.2 自筆証書遺言のメリット
遺言の種類

あかり
今回からは遺言の方式を紹介していきます。
遺言には次の3つの方式があります。
(1)自筆証書遺言(968条)
(2)公正証書遺言(969条)
(3)秘密証書遺言(970条)
かなた
法律で方式まで決まっているんですね。


あかり
そうなんです。
967条では、「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない」と定めています。
ちなみに、これら以外にも特別の方式としていくつかあります。
ですがこれらは飽くまでも特別な場合にのみ有効となるものです。
例外的事項ですので、また後日まとめて紹介しますね。
自筆証書遺言
かなた
さて、それでは最初は自筆証書遺言から紹介されましょうか。


あかり
…人の出番を取らないでくださいね。
まあ確かに自筆証書遺言の紹介から入ろうと思いましたけど。
かなた
まあまあ、それじゃあいってみましょう!


あかり
どうも今回は調子が狂いますね…
さて、とりあえず条文から見ていきましょうか。
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

あかり
まずは自筆証書とはどんなものなのか、ざっくりと説明しますと、その名の通り全文、日付及び氏名を自書する形式です。
そして最後に印鑑を押すことで完成です。
かなた
ふむふむ。
一番ベターな感じに見えますね。


あかり
遺言書といえば当然自分で書くものを想像するでしょうし、わかる気もします。
かなた
これなら手軽にサクッと作れそうですね!


あかり
そうですね。
メリットとして、かなたの言うとおり、作成にあたって敷居が低いことが挙げられます。
紙とペンと印鑑があれば自室でじっくり作りはじめることができます。
費用も当然、ほとんどかかりません。
また、自筆証書遺言は遺言内容を秘密にできます。
遺言書が見つかるまでは遺言書の内容を他人に見られることはありません。
後日紹介する公正証書遺言では作成する際に「証人」が必要になりますので遺言内容が漏れてしまいます。
かなた
遺言内容が知られるのは確かにちょっとイヤかなぁ…


あかり
どちらのタイプも見られますね。
徹底的に秘密にする人もいればオープンに家族に打ち明けている人もいらっしゃいます。
とはいえ、それぞれ事情などありますのでここは自由に決めればいいかと思います。
かなた
な~るほど。
確かにそうですね!

自筆証書遺言に関する注意

あかり
さて、ここらでいくつか補足を入れておきましょうか。
まず「自書」が求められていますのでパソコン等を使って印刷したものはダメです。
音声やビデオで残しても当然ダメですね。
また、押印については制限は特に定められていません。
ただしどこにでもあるような安い印鑑やシャチハタなどだと、本当に本人が作ったのか後から争われる可能性も考えられます。
ですので通常は実印を押します。
かなた
そっか、作った本人はすでにいないわけだから、本当に本人の意思で作られたものかが問題になってしまうわけですね。


あかり
ちなみに紙の指定もとくにありません。
チラシの裏紙でも壁に書いても、有効とされる可能性はあります。
…とはいえ、保証はできませんので一般的な便せんなどに書くようにしましょう。
かなた
ふむふむ。
他にはありますか?


あかり
そうですね…
日付は西暦または元号を入れて正確に。
「平成○○年○月吉日」といった曖昧な日付では無効になってしまいます。
かなた
……なんかけっこういろいろあるんですね。

今回のまとめ

あかり
さて、自筆証書遺言についてまずはメリットをまとめてみました。
かなた、どう思いましたか?
かなた
うーん…。
お手軽に作り始めることができるのが一番の利点かなぁと感じました。


あかり
ほほう~。
詳しくは後日紹介しますが、他の遺言の形式は作るために相応の費用と時間的手間がかかってしまいます。
「法的に有効な遺言」というとどうしても畏まっちゃいますが、そういったものを和らげる意味でも気楽に始められるのは大きな利点に思えます。
さて今回はこのあたりで切り上げて、次回は自筆証書遺言のデメリットを紹介しますね♪
かなた
最後に、今回紹介したメリットをまとめるとこんな感じですね!

りょう先生の解説

りょう
自筆証書遺言の第1回です。
冒頭で遺言には3種類あると紹介しましたが、これらの各方式はどれも一長一短です。
各形式の特徴をしっかりと把握し、相談者の事情を聞き、そのなかで最善となる形式と内容を提案するのが私たちの役目です。
遺言を残すことは円滑な相続にとって非常に重要ですがまだまだ利用されている場面は少ないようです。
「遺言に興味がある」といった段階でも構わないので、早めに相談に来ていただければこちらも打てる手段の選択肢が広がります。
相続・遺言のご相談はお気軽に、お早めに。
当事務所は遺言に関するご相談を専門で承る「遺言専門センター」を設けております。
遺言に関するご質問・ご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

あかり行政書士事務所 遺言専門センター
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