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4.3 自筆証書遺言のデメリット

はじめに

あかり

さて、前回に引き続き今回は自筆証書遺言のデメリットを紹介していきますよ。
その前に、前回のおさらいとしてメリットをまとめておきますね。

 
 

 
 

かなた

前回の話を聞くともうコレで決まり!って思えちゃうんですが…

あかり

さて、どうなりますかね~?

 

自筆証書遺言のデメリット

 

かなた

とはいえ、オイシイ話には罠がある。
聞く限りでは良いことずくめの自筆証書遺言にも、やはりデメリットはあるんでしょう?

あかり

良いことずくめも何も、まだメリットしか紹介してませんからね…。
もちろんデメリットもあります。

まずひとつめのデメリットとして、要件不備等によって遺言が無効となる可能性があります。
たとえば前回もちょっと言いましたが、日付が「平成○年○月吉日」になっていたりすると法的な要件を満たすことができず無効となってしまいます。

 
 

かなた

無効になっちゃったらもったいないですよね。
死んでしまったあとに作り直すことなんてもちろんできないし…

あかり

その通りです。
遺言は自分が死んだら使われるものですので、もし失敗があっても取り返しがつきません
遺言書においては特に確実に実行されるものであることが求められます。

参考までに要件不備で無効になってしまう例を他にも挙げておくと…
 ①夫婦連名で1枚の遺言書にまとめてしまう(共同遺言の禁止(民法975条))
 ②印鑑がない
 ③訂正方法が正しくない(民法968条2項)
などがありますね。

 
 

かなた

うーん、内容が人に知られないがゆえにチェックもされないんですね…。

あかり

また、遺言書自体が法的に有効なものでも、内容によって部分的に無効となるケースもあります。
たとえば「私の土地と建物を太郎に譲る」と書かれてあったとします。
さて、この遺言者が土地と建物を複数持っていた場合に、どの土地や建物のことかわかりますか?

 
 

かなた

う、うーん…
全部なんじゃないですか?

あかり

どれかひとつだけのつもりだったかもしれませんよ?

 
 

かなた

まあ、たしかにそれはわかりませんよね…

あかり

遺言の内容は明確に特定できるものでなければ、その部分については無効となってしまうおそれがあります。
他にもそのような例として、
 ①預金口座等の特定ができない
 ②相続させる相手が先に死亡していた場合が考慮されていない
 ③特定のための情報が間違っている
などあげればキリがありませんね。

 
 

かなた

なるほど…。
つまり遺言書が有効なものになるかどうかは自己責任になってしまうんですね。

次はなんですかー?

あかり

ふたつめは、遺言書の紛失、隠匿、偽造、改ざん等のおそれがあることです。

 
 

かなた

ん? どういうことですか?

あかり

かなたの好きな昼ドラ展開かもしれないですよ?
架空の事例で説明してみましょうか♪

※事例で使用している名前は架空のものです

 
 

(事例1)
太郎さんは生前介護を献身的にしてくれた長女の撫子さんに感謝の気持ちをこめて財産のすべてを相続させる遺言を残しました。
太郎さんはその後まもなく亡くなり、次女の櫻子さんが遺品の整理をしていたところこの遺言書を発見し中身を見てしまいました。

 

あかり

さて、このとき櫻子さんはどんな対応をとるでしょうか?
自分に都合が悪い内容だったので遺言書を破棄して無かったことにしてしまうかもしれません。
さらに悪質な場合には遺言書を自分に都合が良いように書き換えてしまったり、新しく遺言書を偽造してしまうかもしれません。

 
 

かなた

うわあ…。

あかり

あえてこういう言い方をしますが、相続は思いがけず多額の財産を得られるかもしれない機会でもあります。
遺言書が無ければ自分にも相続分が有るというときに、人は何をするかわかりませんよ。

 
 

かなた

うう…それはひどい。

あかり

暗い話はこの程度にしておきましょうか…。
次の事例はなんともお粗末なものです。

 
 

(事例2)
二郎さんは自筆証書遺言の形式で遺言書を作成しタンスの中に大切にしまっていましたが、大掃除の際にタンスを整理していて不要なものと一緒に遺言書も捨ててしまいました。

(事例3)
三郎さんは自筆証書遺言の形式で遺言書を作成しました。
その後三郎さんが亡くなり、遺族が部屋を片付けていましたが遺言書が見つかることはなく相続手続きもすべて済ませてしまいました。

 

あかり

このように紛失してしまったり、遺族に発見されなかったりすることも考えられませんか…?

 
 

かなた

うう、せっかく作ったのにこれでは悲しい…。

あかり

以上ここまでのふたつのデメリットをまとめると、自筆証書遺言は確実に実行されるかという点に不安があります。
繰り返しになりますが、遺言というものは失敗したら取り返しがつかないものですので、これらは特に気をつけなければなりません。

 

あかり

さてみっつめ、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です。(民法1004条)
遺言書を保管している者は相続の開始を知った後、遅滞なく検認を請求しなければなりません。
また、相続人が遺言書を発見した場合も同様です。

封印してある自筆証書遺言を発見しても勝手に開封してはいけません。
先述のとおり隠匿や偽造、改ざんのおそれがあるからです。

 
 

かなた

めんどくさいですね~。
家庭裁判所の場所なんて大抵の人は知らないだろうし、勝手に進めちゃっても別にバレないんじゃ

あかり

ちなみにこの検認を怠ると5万円以下の過料に処されますので気をつけてくださいね。(民法1005条)

 
 

かなた

!!

あかり

…さて、よっつめです。

 
 

かなた

まだあるんですか…。
もうやめて!とっくに自筆証書遺言ちゃんのライフはゼロよ!

あかり

これはわりと見落としがちなポイントなのですが、重要です。
自筆証書遺言は筆記ができなければ作ることができません
たとえば後遺症などで手が動かないといった時には字が書けませんよね。
これでは自筆証書遺言の要件である「自書」が満たされないのです。

もちろん代筆ではダメです。
また、手を添えて書くのを補助することは必ずしもダメとは言い切れませんが、「手を添えた者の意思で本人に書かせた」と疑われ争いとなる可能性もあります。
自筆することが困難な状態であるならば自筆証書遺言は断念した方がいいかもしれません。

 
 

かなた

うーん…
デメリットも結構あるんですね…。

あかり

まとめるとこんな感じですね!

 
 

 

まとめ

あかり

自筆証書遺言、どうでした?

 
 

かなた

最初はすごい手軽で良いと思ったんですが…
デメリットも結構あって悩ましいですね。

あかり

そうですね。
簡単に始められる分、その成果物について自分で判断しなければならない点が多いのです。

そこでオススメなのが、自分で作成した遺言書を私たち行政書士などの専門家にチェックしてもらうことです。
遺言の内容を見せることにはなりますが、行政書士は行政書士法12条により守秘義務が課せられていますので外部に漏れることはありませんよ。

 
 

かなた

おおっ、そうか~!

あかり

また、遺言書を預かってもらえば偽造や紛失等のおそれもなくなります。
自身の死後にその専門家に連絡をしてもらえるよう家族にお願いしておけばなお良しですね♪

 

りょう先生の解説

りょう

前回に引き続き、今回は自筆証書遺言のデメリットです。

自筆証書遺言は実行確実性には欠ける形式と言わざるを得ません。
やり直しができない遺言では、これは重要なポイントです。
とはいえ、作成までの敷居が低い、特に金銭的なメリットは他の形式にはありません。
まずは自筆証書遺言を自分で作ってみて、正式な遺言を残すときに公正証書遺言に変更されるような方もいらっしゃいます。
自身の相続に興味を持ってもらうためには非常に有効な形式でもあると私は思っています。

自筆証書遺言の起案や法的なチェック等も当事務所では承っています。
街の身近な法律家である行政書士をぜひお気軽に利用していただければと思います。

 
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© 2013 Ryo Tsuchiya