4.5 公正証書遺言とは
はじめに

あかり
次は2つめの遺言の方式、「公正証書遺言」を紹介します。
公正証書遺言は、遺言を公正証書で作成する方式です。
自筆証書では心許なかった紛失や改ざん等の危険、無効となる可能性が非常に少ない安心確実な方式なんですよ。
かなた
ほほ~う、どんなものなのか楽しみです!

公正証書とは
かなた
早速質問なんですが、「公正証書」ってなんですか?


あかり
公正証書とは、公証人が法律に従って作成する公文書です。
公証人は元々検事や裁判官等であった法律の専門家です。
公証人は全国の公証役場と呼ばれる場所で執務しています。
かなた
ほうほう、そんな人たちが作る文書なら確かに安全確実そうですね~。


あかり
その通りです。
公正証書には高い証明力があります。
裁判を経なくても強制執行が行えたりするような場合もあるんですよ。
かなた
おお、それはとてもすごいですね!


あかり
(あ、これはなんとなくしかわかってない顔だ…)
公正証書遺言とは
かなた
さっそく、そんなすごい公正証書遺言の作り方を教えてください!


あかり
そうですね…。
まずは条文から見ていきましょうか。
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
(公正証書遺言の方式の特則)
第九百六十九条の二 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。この場合における同条第三号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第三号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3 公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
かなた
やっぱり条文ですか…


あかり
すべての基本ですからね。
まあこれからポイントだけ解説しますから。
公正証書遺言の作る流れは民法969条に書かれています。
すなわち、
(1)証人2人以上の立ち会いのもと、
(2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授(くじゅ)し、
(3)公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、
(4)遺言者及び証人が、筆記が正確なことを承認した後、各自これに署名押印し、
(5)公証人が必要事項を付記して署名押印
して完成となります。
かなた
口授ってのは?


あかり
あまり聞かない表現かもしれませんが、要するに口頭で伝えるってことです。
かなた
口頭で伝えて遺言するんですか。
なんだか遺言って感じがしなくておもしろいですね。


あかり
現実的にはその場で聞いてそのまま作成することはあまりないかと思います。
事前に遺言の内容を公証人とやりとりするのがふつうです。
それを基に用意された遺言書を読み聞かせ又は閲覧させて、遺言者と証人に確認させるやり方が一般的でしょう。
かなた
なるほどー。
実務はまた少し違うんですね。
ところで話すことができないような状態の人は公正証書遺言を遺すことはできないんでしょうか?


あかり
大丈夫です。
962条の2に特則として規定されていますよ。
話すことができない遺言者は、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述、または自書して公証人に伝えればいいのです。
また、2項は耳が聞こえない遺言者または証人への読み聞かせの特則です。
これにより、通訳人の通訳で伝えることで、読み聞かせに代えることができると規定されています。
なおこれらの場合には、公証人はその旨を遺言書に付記することが義務づけられています。(3項)
かなた
おお~、自筆証書遺言のときみたいに筆記できない人は作れないとかではないんですね。


あかり
また、公正証書遺言は原則として公証役場に赴いて作成されますが、病状等によって公証役場に赴くことができない場合には、公証人に出張してもらうこともできます。
ただし、別途費用が発生してしまいますので注意してください。
かなた
至れり尽くせりですね!


あかり
さて、そんな公正証書遺言のメリット、デメリットを次回以降も順次紹介していきますよ~。
りょう先生の解説

りょう
今回は公正証書遺言についてです。
公正証書遺言は法律のプロの公証人が作成する遺言の方式です。
プロが作る公文書ですので、自筆証書遺言では作成者に委ねられていた無効となる可能性などが排除できます。
やり直しのきかない遺言では公正証書遺言が一番安心できる方式のため、私たち専門家は公正証書遺言をオススメしております。
次回以降、メリットとデメリットを順次まとめていきます。
当事務所は遺言に関するご相談を専門で承る「遺言専門センター」を設けております。
遺言に関するご質問・ご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

あかり行政書士事務所 遺言専門センター
お電話でのお問い合わせ:042-703-6059
フォームからのお問い合わせ:問い合わせフォーム(※新しいタブが開きます)
「あかり行政書士事務所 かぷらぼ!」の更新内容についてブログでも補足しています!
あわせて是非ご覧ください。(ブログは「かぷらぼ!」の更新より数日遅れる場合があります)

行政書士個人ブログ "Earth Beat Blog"
※免責事項
この記事は内容をわかりやすくするために、詳細な説明を省略したり言葉を置き換えたりして書かれています。
そのため厳密に解釈を行うと正しくない内容が含まれているかもしれません。
当サイトの提供する情報を利用することが原因で発生した損失や損害については一切責任を負いかねます。