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4.10 遺留分

はじめに

あかり

遺言を作るうえでは遺留分の侵害にも注意が必要です。

 
 

かなた

また何か難しそうな言葉が出ましたね…。

あかり

もう何度も言ってますけど、かなたは補助者なら遺留分くらい知っておきましょうね~。

 

遺留分とは

あかり

たとえば、夫が愛人にすべての財産を譲る遺言を作ったとします。
もし夫が亡くなりこの遺言が実行されれば、残された家族は家も預金もすべて愛人に奪われてしまいます。

 
 

かなた

家族をほっぽり出して愛人に傾倒する夫ですか…。
そんなことされたら家族は困ってしまいますよね。
預金も残らず、もしかしたら家も追い出されてしまうことになっちゃうかも…

あかり

そんなことになると家族が路頭に迷ってしまうかもしれません。
そこで遺留分です。
遺留分とは、遺産総額から最低限受け取ることができる額のことです。
こういう相手方には遺留分減殺請求を行って遺留分を取り戻すことが出来ます。

 
 

かなた

おお、そんなモノがあるんですね!

 

(遺留分の帰属及びその割合)
第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

 

あかり

さあ、ここで条文を見てみましょう。

 
 

かなた

うっ、ええまぁそうなりますよね…。

あかり

遺留分は直系尊属のみが相続人である場合は相続財産の3分の1です。
また、それ以外の場合は相続財産の2分の1です。
ただし兄弟姉妹には遺留分がありません

 
 

かなた

ということは、さっきの例では?

あかり

夫婦と子どもが2人とした仮定ですが、相続財産のうち半分が遺留分になります。
ですので、金額次第ではありますが家を取られたりしないですむかもしれませんよ~。

 

遺留分を有効に使う

 

かなた

で、遺言を作るときには具体的に何に注意すればいいのでしょうか。

あかり

一言でいえば遺留分を侵害しないように注意することです。
具体的には、相続人以外の人に財産を譲る場合などには相続人の遺留分を侵害しないようにしないと、相続人から遺留分減殺請求をされる可能性があります。

 
 

かなた

げ、げんさつ…。

あかり

「いりゅうぶんげんさいせいきゅう」って読みますよ。

 
 

かなた

そ、そうさつ…。

あかり

はいはい、相殺(そうさい)ですね。

 
 

かなた

どうして法律用語では「殺」を「さい」って読むのが多いんでしょうかね?

あかり

そんなのは言葉を作った人に聞いてください。
話が脱線してますよ。

さて、遺言の最初で遺言をした方がいい場合の例を挙げましたね。
その中に「夫婦に子どもがいない」というものがありました。
これは実は遺留分がポイントになるんですよ。

 
 

かなた

あったような気がします…。
でも、どういうことですか?

あかり

夫婦の間に子どもが居ない…ということは、もし夫婦の片方が亡くなった場合、相続人は配偶者と直系尊属もしくは兄弟姉妹になります。
直系尊属、つまり親は年齢的な問題もあり、すでに亡くなっている場合が多いことはわかるでしょう?
そうなると、相続人は兄弟姉妹になります。

 
 

かなた

夫婦の相手の兄弟姉妹となると、ほとんど縁もないようなことも普通にありそうですね。
配偶者から見たらよく知らない人に二人で築いた財産を持って行かれてしまうんですね。

あかり

そんな時にこそ遺言を残すのです。
ただ一言、「妻(夫)に全財産を相続させる」と。

 
 

かなた

えっ、そうなるとアレですよね?
ほら、さっき説明にあった…

あかり

こんな短時間で忘れないでくださいよ。
遺留分の侵害についてですか?
それなら何も問題ありませんよ。

 
 

かなた

ほえ、どういうことでしょう?

あかり

さっき言ったでしょう?
兄弟姉妹には遺留分がないんです。
つまり、配偶者にすべての財産を残す遺言をしても遺留分の侵害にはなりません。

 
 

かなた

おおーっ、なるほど!

あかり

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、お互いの面識があまり無く相続も揉めやすくなるリスクが高いといえます。
そういう状況になりそうな関係でも、遺言をのこすことでこんな感じに円滑に相続を進めることができるんです。

 
 

かなた

自分が損をしたときにも、誰かを優遇したいときにも。
場合に応じていろいろ使えそうなのが遺留分ってわけですね。

あかり

ちなみに遺留分を侵害する遺言が即無効になるというわけではありません。
遺留分減殺請求は権利ですので、行使しないことも自由です。

また、遺留分には時効があるので注意してください。
「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から、1年」経ってしまうと消滅します。
「相続の開始の時から10年を経過したとき」も同様です。(民法1042条)

 

りょう先生の解説

りょう

今回は遺留分についてです。

遺言では相続分の指定や具体的な相続財産の指定が自由にできます。
たとえば子どもの中で介護の世話を積極的にしてくれた子どもにすべてを相続させることも…。
ただし、このような場合には他の子どもから遺留分減殺請求をされてしまう場合があります。
相続分に差をつけるときは注意する必要があります。

また、兄弟姉妹に遺留分が無いことをうまく利用して、挙げた事例のように配偶者に全財産を相続させることも有効です。
遺留分は侵害しないことに注意するだけでなく、うまく利用すればより希望通りの相続に繋げられる可能性があります。

ちなみに、遺留分減殺請求というと難しい言葉のように聞こえますが、請求の手段には指定がありません。
ですので、ふつうに手紙で請求したり、場合によっては口頭で話し合っても可能です。
現実には紛争となった時の証拠とするために内容証明で通知することが多いようです。

 
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© 2013 Ryo Tsuchiya