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4.12 付言事項(1)

はじめに

あかり

今回は「付言事項」のご紹介です。

 
 

かなた

……

あかり

遺言についてたくさん紹介してきましたが、いちおう遺言の中心的な内容としてはこれが最後の予定ですよ。

 
 

かなた

そう聞いたらなんか元気が出てきました!

あかり

まったくこの子は……

 

付言事項とは

あかり

さて、この「付言事項」とは、ひとことで言うと遺言をする想いを伝えるものです。

 
 

かなた

想いですか…。

あかり

付言事項はあくまでも遺言者の想いですから、法的根拠はありませんし、法的な効力もありません。
しかし遺言をするうえでは非常に大事なものなのです。

 

付言事項の持つ意味

あかり

遺言をするということはすなわち、法定相続と異なる分割を希望するからですよね。
それはつまり、遺言があることで得をする人と損をする人が出てくることになります。
これは遺言というものの性質状、しょうがないものです。

 
 

かなた

なるほど。
遺言で損をする人からしたら、遺言の無効を主張したりして法定相続をさせた方が自分が得をすることになりますからね…。

あかり

ここでひとつ事例を挙げてみましょうか。

 
 

[遺言1]
"預金1,000万円のうち、一郎には300万円、二郎には700万円を相続させる"

[遺言2]
"花子には家と土地を、櫻子には預金500万円を相続させる"

 
 

かなた

あれ?
これは相続するものの価値に結構差がついていますね。

あかり

そうです。
遺言1では二郎さんに有利に、遺言2では花子さんに有利な内容となっています。

 
 

かなた

損をしちゃう一郎さんと櫻子さんはこのままでいいんでしょうか…。
相手に恨まれたりしちゃいません?

あかり

ええ、そのおそれがありますね。
このように相続分に差をつける場合には、法的効力を持たせるために遺言内容を書くだけではちょっと足りません。
これらの遺言には相続分に差を付ける理由が必要なんです。
遺言書を書くのも、読むのも人間ですから、そこには感情が生まれるはずですからね。

 
 

かなた

なるほどー。
その理由を書くのが付言事項ってやつなんですね!

あかり

そうなんです。
それでは、さっきの遺言に付言事項を追加してみましょう!

 
 

[遺言1]
"預金1,000万円のうち、一郎には300万円、二郎には700万円を相続させる"

[付言事項]
"一郎は大学に進学させて好きなことを勉強させてやることができた。
しかし次郎が進学するときは、私がリストラにあってしまい、大学に行かせてやることもできず、好きなこともやらせてあげることができず、大変な苦労もさせてしまった。
だから、次郎にはせめて一郎よりも少し多めに相続させることにした。"



[遺言2]
"花子には家と土地を、櫻子には預金500万円を相続させる"

[付言事項]
"櫻子は遠くに嫁に行ってしまい、それっきりだ。
私が突然の発作で倒れ、家が大変だと連絡しても、顔を見せにもこなかった。
一方、花子は同居してることもあり、いろいろな迷惑をかけたが甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
私の身体が不自由となったあとも日々の生活を手伝ってくれた。
だから櫻子よりも花子に多く相続させてやりたいんだ。"

 
 

かなた

おおー、なるほど。
この2つの遺言にはそういった事情があったんですね…。

あかり

どうですか?
付言事項による理由がついたことで、差を付けた理由が明らかになりました。
もちろん必ずしも納得がいくとは言いきれませんが、それでも遺言に従って相続を進めていこうという気持ちにさせてくれるものではないかと思います。

 
 

かなた

あると無いでは全然違うと思います!

付言事項のもうひとつの使い方

あかり

さて、実は付言事項の効果的な使い方はまだあります。

 
 

かなた

おお、そうなんですか~!

あかり

今回は「相続分に差を付ける理由を残す」という使い方を紹介しましたが、もうひとつはまた次回に。
こちらはきっとかなた好みの内容になると思いますよ♪

 
 

かなた

う~ん、どういうことでしょう??

りょう先生の解説

りょう

今回は付言事項のその1です。

付言事項は遺言に対する遺言者の想いです。
遺言を遺すことはすなわち法定相続と異なる分割を希望することでもあります。
結果、必ず得をする人と損をする人が出てきますので、当事者間に軋轢が生まれてしまうことがあります。
余計な紛争を防止するためにまず考えられるのが、この付言事項で理由を提示することです。
差をつけた理由をしっかりと具体的に挙げることで、ある程度当事者も納得のいく遺言となるのではないかと思います。

次回は付言事項のもうひとつの使い方を紹介します。

 
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© 2013 Ryo Tsuchiya